(T様とは複数回に渡り詳しくメールでやり取りさせて頂きました。)
2004/05/21
去年、家を新築したのですが、家具は昔のボロいのを使っていますので、そんなに急いではないですけど、良い無垢天板が見つかれば、それでテーブルを作って頂きたいなあと思っています。
大きさは、2100×1050 くらいと書きましたが、なるべくなら、1050くらい横幅のたっぷりあるのがいいなあと思っています。
2004/05/22
素敵なダイニングテーブルを作らさせて頂きたいと思っております。無垢の一枚板の購入は、「出会い」と「決断」なんです。
杢(もく)の説明が載っております。参考になさってくださいませ。
広島県の『府中家具産地』の紹介 – 天然木の造形美 杢の種類
2004/06/02
6月11日に、当工房がお世話になっております材木市が開かれます。(前日が下見)当工房から車で30分くらいの所で毎月1回開かれるのですが、結構大きな市で全国から関係者が集まります。未乾燥材から乾燥材まで、すごい量の板や材木が競り落とされます。
未乾燥材ですと、最低でも1年の天然乾燥を経て、それから人工乾燥がかけられます。厚さのある一枚板の場合は、人工乾燥は必須です。乾燥材でしたら、すぐに加工はできますが、値段は高くなります。しかし、何年も寝かして置くことを考えると乾燥材の方がお得なのかもしれません。
そこで、T様のご都合がよろしければ、一緒に材木市に出向いてみませんか?
競り落とせるかはわかりませんが、実際に目で見て、納得された板を購入された方が、T様のご意向に沿うような気がいたします。
2004/06/07
先週は木材市のご連絡を頂きましてありがとうございます。家の人に話してみると、かなり興味深かったらしく、私の母はできるものなら、是非行ってみたいと申しております。
今月の木材市に行けるかどうかまだわかりませんが、6月10日の下見と11日の競りを見てみたいと思っています。行けるかどうかはギリギリにならないとわかりませんが、もし行けるようになったら、電話でご連絡いたします。
前日からカーフェリーで大阪まで行って、安い宿に2泊しようかなと思っています。僕自身、かなり興味深々ですし、実際に行ってみると見聞が深まるだろうと思っています。
もし行けるようになったら是非一緒に連れて行ってくださいませんか?
福庭家具工房さん、よろしくお願いいたします。
2004/06/08
メール大変ありがとうございました。家で話し合い、私と母が6月10日の下見と11日の競りに参加することにしました。
9日夜福岡を車で出発し、フェリーで10日の朝大阪南港(8:00)に着き、昼頃、美濃加茂市の福庭家具さんのところに着く予定です。11日は夜の20:00時に大阪南港から帰りのフェリーに乗る予定です。
なにぶんにも初めてのことで、また大半が未乾燥材ということで購入には慎重な態度なんですが、それでも現物を見てみないことには何も始まらない気がしてます。
見聞を広めるためにも今回の岐阜旅行は母も私もほんとに楽しみにしております。
直接下見会場に行くのではなく、必ず美濃加茂市の福庭さんの工房に参ります。私自身家具には大変興味を持っていますし、天然木や材木選びのコツなど色々教えて頂きながら、工房のいろんな話なども伺えたらと思っていますので、ぜひご一緒させてください。
2004/06/13
今日はまた別な質問が湧いてきてメールを書こうと思いました。全く素人の質問なんですけど、ふつう天然木一枚板の場合は耳を残すのが当たり前と思ってていいんでしょうか?
天然木だからこそ耳がついているのですが、福庭さんは天然一枚木の耳をまっすぐに削り落として装飾加工されたテーブル天板を見たことがあります?やっぱり耳を削るのはもったいないんでしょうか?
たとえば、耳を直線的に垂直に削り落として天板の大きさを(W2150,D1050,T65)くらいにして、4隅の角をR(半径)30mmくらいの円弧で丸く仕上げるとかなりスタイリッシュでおしゃれな感覚になるんじゃないかな~と思ったんですけど…。
母は昔から角の丸みを帯びたテーブルがとても好きなんです。もしこの案も選択肢に入るならば、4隅を丸く削ったあと、天板の表面の周囲を1mmくらいの薄さで幅15mmくらいの帯状に削ってフィニッシュしたらどうだろうかなあ~などと思案している次第です。しかし栃の樹皮近くは白い層があるので思った程うまくいかないかもしれないと思っています。
耳を残すと自然な風格が出てそれはそれで大変に美しいだろうと想像してます。けれど、週明けにも家の建築士さんの所に行って、サイドボードやソファ等を含め部屋全体の家具の色調のトータルコーディネートという観点から、田舎風の民芸調でなく現代的なCITY感覚でどうまとめようかということについて話し合います。
その際に、選択肢の一つとして、天板の周囲を直線と円弧で削ってみてはどうか?ということを検討してみたいのです。
このような理由で、まず耳を削ることが技術的に難しいことかどうかお尋ねします。次に、そもそも耳を削るなどということに対して福庭さんの職人としてのご経験から許してもらえることかどうかお尋ねいたします。
福庭さん、もしよろしければ僕の浅い素人の思い付きに何か助言して頂けないでしょうか?
僕、家具のことを考えるのが好きなんです。どうかよろしくお願いいたします。
2004/06/13
好みの問題ですので、天然一枚板でも、耳を削り落としたものもあります。もったいないと思うこともないと思います。
耳を削り落とすことに関しては、特にこだわりはないですので、全く気にしてくださらなくていいですよ。技術的にも全然大丈夫です。
耳有りでも都会的なものもありますし、耳無しでも田舎風のもあります。
(以降、やりとりはお電話にてさせて頂きました。)
2004/06/14
耳を削ることに特に固執はしないという福庭さんのご意見を伺って、建築士さんと話し合う際にずいぶん選択肢の幅が広がったような気がします。
さて、今日はまた別の案を提案致します。耳を付けるかどうかの問題は後回しにして、どんな脚をどこに取り付けるかを考えなければなりません。
別の案というのは、図のように(たてW2150 よこD1050)の天板を広く使おうという発想で考えました。たて方向をW方向、よこ方向をD方向と呼ぶことにします。
つまり、W2150の長さのテーブルは幅の広いイス(W600など)の場合、W方向に3脚詰めて並べるより、やはりW方向に2脚、D方向に1脚ゆったり並べる方がゆとりが出てくると思います。
このコンセプトで脚はW方向の脚内1350mm、D方向の脚内650mmを考えました。脚は直径100mmの円柱を考え、天板との接合部にドーナツ状の円管(外側直径150mm)を考えました。
これならD方向にもW600mmくらいのアームチェアが収納できます。また、この図案では足元の土踏まずを乗せる棒がありません。極力すっきりとしたデザインをねらっています。
福庭さん、この図案をどう思われますか?そり止めや脚部に強度上の問題はないでしょうか?
2004/07/07
栃天板を人工乾燥にかけていただきありがとうございました。また鮮明な写真を11枚送って頂き大変感謝しております。
あらためて全体を見ましたが大変に豊かな表情で美しく、あのとき決断して購入してやはり良かったなあと思っております。
耳の各部の写真もお送り頂きまして大変ありがとうございました。この耳の写真を見て、僕の今の直感では、耳は残すべきだと思っています。
耳は削らなくてもほとんど直線に近いですし、なんといっても、このまま残せば110~116センチも横幅が残るのが最大の魅力です。耳は向かって右側の方が美しいですね。
この栃天板の出どころは岩手県と聞いてあらためておどろいています。寒い地方で長い風雪に耐えてきた木なのですね。これでいよいよ、本当に始まったなあと感慨にふけっています。
2004/08/03
夏本番ですね。今日は新しい「1枚土ふまず板」の図案を提案致します。まず始めに、もともと2本の平行な土ふまず棒と言ってたのはテーブルの両側に座った人がそれぞれの人から40数センチのところに脚のせ棒があったら気持ちいいと考えたからで、今回の案では、それが1枚の土ふまず板に変わっています。
喜多俊之氏のテーブルの美しさは板脚の細さにあると思います。見たところ30センチあるかないかですよね。僕の拙い経験によると、脚の幅が広くなればなるほど構造的にしっかりする反面見た目が重くなっちゃうと思うんです。
で、思ったのですが、僕の場合はこの喜多氏のテーブルの脚部にプラスする感じで水平に1枚の土ふまず板を床から高さ10cmくらいのところに渡そうかなと考えました。
追伸。
おととい、佐賀県鳥栖市で開かれた乾燥材の材木市(競り)に母と行ってきました。いろんな天板や住宅建材用の角材を見て、だいたいの値段を知って、各務原で見つけた栃天板があらためて良い買い物だったと再認識しました。
しかし乾燥材でも、未加工の材木だけなら驚くくらい安いことを知り、何を作るのでも原材料費には惜しみなく予算を投入すべきだと感じました。
2004/08/19
天板の右のカット線に関して、どんな気持ちでカット線を入れたかを書きます。「一の山」と「四の山」のてっぺんのみをスレスレにかすめる(1ミリ程度)のではなく、もう少し踏み込んで「一の山」と「四の山」のてっぺんから3~5ミリ程度のところにカット線を入れるならば、「二の山」と「三の山」はほどんどなくなってしまうだけでなく、右の耳はほとんど全部直線で削られることになります。
それでもいいと思っています。これは図面に記されたカット線よりも更に内側をカットしてもいい事を言っています。
また、「二の山」と「三の山」の樹皮のしわしわになった所は、福庭さんが初めて見るなり「あ~このしわは大変いいですねえ~」とおっしゃっていたのをよく覚えています。
が、僕は決心して切り落とすことにしました。
また、「一の山」の前後の耳のワイルドさは僕はとても気に入っていてできることなら残したいと思っているのですが、「一の山」および「四の山」を共にてっぺんから3~5ミリ程度削ると、このワイルドな谷もほどんど残らなくなります。僕はそれでもいいと決心しました。天然木らしい耳を思い切って削る犠牲を払い、左右の耳を直線で85~90パーセント以上切り落とすことで、必ずスタイリッシュですっきりした天板になるだろうと確信しています。
添付ファイル1はそういう気持ちで作りました。黒い枠の中にくっきりと長方形の天板が浮かんで見えます。福庭さん、大胆に削ってください。お願い致します。
たぶん横幅は1115ミリ前後(1110ミリでも良い)になるだろうと思っています。
また、左の耳のカット線は、左上のエッジの1ミリくらい外側にカット線を合わせ、最後にエッジをサンドペーパーで丸めることで、垂直方向の直線と円弧をうまく接合できないかなと思っています。(せこい考えかな?)
これが難しいならば、単に左上のエッジにカット線を合わせ、仕上げ時にふつうに丸めて下さい。
最後に、天板の仕上げに関して、天板の4つの角および天板のエッジの丸め方の参考例として、2つめのファイルを添付いたします。
チェリーシェーカーテーブルという名がついていますが、シンプルで美しいと思います。どうぞご参照ください。
エッジの丸め具合は、この写真程度かあるいはもう少し大きくてR=9ミリくらいの円弧が良いのではないかと思っていますが、福庭さんが天板を仕上げるときのバランス感覚にお任せ致します。
2004/10/09
確認のために胴付の図面を書いて見ました。全体図と詳細図を添付いたします。では、また。
2004/10/29
添付ファイルに示すカット線のようにすれば、左右の耳を全て完全に削り落としても106センチ(あるいは106.5センチ)は取れそうです。
この図は正確に10分の1の縮尺です。宜しくお願いいたします。
2004/12/12
あれから随分と時間を要してしまいましたが、近々発送する予定でおります。(15日以降)
思ったより非常に重く、制作の段取りがかなりずれ込んでしまい、申し訳ございませんでした。サイズは、2150×1070となりました。
2004/12/29
写真を何枚か撮りましたのでお送りします。
福庭家具工房製作の栃ダイニングテーブル
天板:岩手県産栃,サイズ:W2150×D1070×H700(T75) 四隅はR60の円弧。
蟻桟及び脚部:楢
中央足のせ板:W1220×D240×H100(T60)
天板は白く優しい表情を持ち、息を呑むような美しさを湛えている。天板、蟻桟、脚部は一体製作で、細部に亘る職人技は精緻。
設計は依頼主、コンセプトはスタイリッシュ。両耳は大胆に削り落とされ、全てのエッジは丸く面取りされている。足のせ板に土ふまずを乗せた時、至福。
天板が広い為にこのようなデザインが可能となった。(なお、椅子はNT-Slim。)
今回、福庭信豪氏と出会い、また得難い栃天板と出会い、大変に幸いでした。
この栃ダイニングテーブルは末代までの家宝であり、大切に使わせて頂きます。心より感謝申し上げます。
(依頼主の希望で天板裏に製作者のお名前を彫って頂きました。)
早速に画像とご感想をありがとうございました。
作品があまりに大きくて、工房では全体像をゆっくり見ることができませんでしたが、こうして室内に置いてある画像を見ますと、あらためて、その迫力を感じます。
本当にありがとうございました。お母様にもよろしくお伝えくださいませ。
2005/02/24
福岡のTです。みなさま、お元気でいらっしゃいますか?
福庭家具工房製作の栃ダイニングテーブルを二ヶ月ほど使ってみて、ごはんを食べるときはもちろんですが、そばを通るときですら、なにやらウレシイ気がします。
ほんとに優雅な気分です。ひとつの家具がこんなに人のこころをよろこばせるなんて、思ってもみませんでした。
椅子が来ましたので、栃テーブルとあわせた写真三枚をお送り致します。当初の計画どおり、スタイリッシュという点で、両者はみごとに共演していると思います。
(尚、椅子はArflex JapanのNTチェアで座面の裏打ちが施されています。)
重ね重ね、福庭様のお仕事のすばらしさに感謝し、ご家族様のご発展をお祈りしております。
当工房の家具を気に入って頂き、又、大事に、愛着を持って使って頂いているようでありがとうございます。素敵な椅子ですね。栃のテーブルにぴったりと合っていると思います。
又、お庭も風情があって、コーヒーでも飲みながら眺めていると、心安らぎそうですね。テーブルには、これから傷がついたりして、ご家族の歴史が刻み込まれ、更に味が出てくると思います。
どうぞ末永く使ってあげて下さい。
(お手紙を頂きました。-お手紙より一部抜粋-)
先日来た椅子は、福庭家具工房制作の栃ダイニングテーブルと合わせてみたところ、椅子の座面の高さや色調など結構ばっちりフィットして、家族共々みな喜んでおります。
ホームページを見ると早速画像がUPされておりまして楽しく拝見できました。ありがとうございます。
あの栃の天板は毎日の生活をほんとに楽しくさせてくれます。やっぱり、本物の天然木はちがいますねぇ。
又、福庭様の仕口は大変に丁寧で、こないだ家に来た大工さんが「よー磨いちょるなー」と感心していました。改めて、感謝申し上げます。ありがとうございました。
我が家のインテリアは現在も進行中なので、また次の機会があれば幸いに存じます。